現在、ムービーオンやまがたでは、「午前十時の映画祭」が上映されている。
「午前十時の映画祭」は、映画演劇文化協会が2010年から取り組んだ、世界の名作映画を年間で50本を、毎日午前十時に上映するという特集上映である。
開始当時は、全作品ニュープリントであったが、第4回の2013年からは、DCPによってデジタル映像を上映しているのだ。
2019年度で一旦終了となったが、新型コロナウイルス感染症により、新作映画の公開が延期される中、再度復活したのである。
今年で11回目となり、誰もが知っている往年の名作27作品が上映されている。
先日、「スタンド・バイ・ミー」を、ムービーオンで観た。
DVDや配信では無く、映画館・劇場で鑑賞したかったのである。
日本公開は、1987年。
自分が27歳の時。
あの時は、友人との冒険や、それを通しての成長を描いた作品として、心に残ったのを覚えている。
映画もそうだが、それ以上に、主題歌を歌うペン・E・キングの印象が強く、「スタンド・バイ・ミー」の曲のイメージが、心に刻まれたのである。
今回、改めて観た。
なんと素晴らしい映画なんだろう。
あの時、見えなかった風景が見えて、聞こえなかった音が聞こえた。
また、スティーブン・キングが原作者で、舞台はキャッスル・ロックという架空の町だったのも、改めて知った。
監督のロブ・ライナーに、キングは「僕の書いたものを映画化した中で、最高の作品となった!」と興奮して話したという。
兄弟や家族への愛情、そして、コンプレックス。
アンビバレンスの中にある心の停滞を、小さな勇気が解き放つ。
そんな作品であることを、あれから30年以上も経って理解できたのである。
あの頃は、そこまで分からなかったのに…。
その答えを自問自答する。
あの頃より、自分は今、人生を長く生きている。
あの頃とは比べものにならない程、多くの経験をしている。
ロゴスとパトスとエートスのそれぞれの視点で、きっとこの映画を観ているのである。
今、このタイミングで、映画「スタンド・バイ・ミー」を観て、良かったと思った。
人がそばに寄り添うとは、時空を越えるものなのだと、確信したからである。
映画の力は、素晴らしい。