放送作家で友人の小山薫堂さんより一通のメールが届く。
京都芸大の関係で、ふるさとの天草を舞台にした映画「のさりの島」の、プロデュースをされたとのこと。
是非、ムービーオンでも上映してほしいとのことであった。
小山薫堂さんとの出会いは、山形国際ムービーフェスティバルYMFの審査委員をしてくださったことからであった。
同じ頃に、彼が原作・監督を手がけ、山形県で撮影された「おくりびと」は、その後、アメリカアカデミー外国語賞を受賞した。
また、東北芸術工科大学に新設する企画構想学科の学科長に就任された。
3つのご縁が重なり、いつしかとても大切な友人となっていた。
そのご縁もあり、長男が小山薫堂さんが設立した「オレンジ&パートナーズ」の新卒採用社員1号として、彼のチームに加わったのである。
2月13日(日)、ムービーオンにて、山本起也監督と東北芸術工科大学の中村高寛准教授によって、「のさりの島」の舞台挨拶が行われた。
「のさり」とは、いいこともそうでないことも、自分の今ある全ての境遇は、天からの授かりものとして否定せずに受け入れるという、天草の優しさの原点ともいえる言葉である。
今や、日本中、どの町でも「シャッター街」を目にするが、その土地で暮らす人々の思いや繋がりの思い、愛情、優しさが、この映画から伝わってくるのだ。
「優しい嘘」が生み出した、おとぎ話のような時間を、天草の人々が生み出すのだ。
主人公は、流れてきた若い男・将太役に、藤原季節。
その彼のばあちゃんを演じてくれた、商店街の楽器店の店主・山西艶子役を、原知佐子が演じる。
「のさりの島」は、原知佐子さんにとっての遺作となる。
自分は、この映画は、原知佐子さんの存在が柱であり、映画に命を吹き込んでくれたと思えた。
彼女が、「のさり」を体現してくれたと感じたのである。
素晴らしい演技に、敬意を表すると共に、ご冥福をお祈り申し上げる。
昨年の夏、小山薫堂さんから、天草の「まるきんのたいやき」が送られてきた。
その圧倒的な美味しさに、驚きさえ覚えた。
当時のブログにも書いている。
そのたい焼き屋の匂いが、映画から感じられた。
とても嬉しくなったのだ。
映画「のさりの島」
登場する人全てが、より良い未来を探り見つけて行くような、小さな希望の種を探しているような、そんな映画である。
是非、ご覧いただきたい。
ムービーオンで、上映中!