2月20日、全豪オープンテニステニスの女子シングル決勝にて、大坂なおみ選手は、ジェニファー・ブレディ選手をやぶり、2度目の全豪優勝を果たしたのである。
これにより、グランドスラムでは全米の2回優勝と合わせて4勝目を飾る。
精神面の成長が著しいと、誰もが彼女を讃えたが、彼女の精神が限界の淵で戦っていたのが、4回戦の試合であった。
スペインのガルビネ・ムグルサとの試合の後、勝利したにもかかわらず、大坂なおみ選手はタオルを被り、必死に涙を堪えていた。
それほど、ムグルサとの4回戦は激闘であったのである。
自分は、ダイバーシティメディアを通し、WOWOWで毎試合をライブで観ていたが、途中で、大坂選手は負けると思った。
第3セット第8ゲームの大阪選手のサービスゲーム…、ムグルサ選手から40-15と、2度のマッチポイントまで追い込まれたのである。
あの世界中から注目を浴びる試合で、マッチポイントを跳ね返す力は、想像を絶するものである。
精神的にも身体的にもである。
結果は、4-6、6-4、7-5であった。
試合後、ムグルサ選手は、「1ポイントで勝敗が変わる。どこが流れを変えたのか?注意深く検証しなければならない。」と言っていた。
すべてを準備してきた、トップ選手同士の凌ぎ合い。
素晴らしいと思った。
2018年の全米オープンテニスの決勝と同じく、ストレートで勝利を手にする。
そして、準決勝を勝ち、ジェニファー・ブレディとの試合に臨んだ大坂なおみ選手。
そして、ストレート勝ちで、その力量を見せてくれた。
コロナ禍での大会だったからか、エンディングの表彰式セレモニーは、とても感動的であった。
全豪テニスの会長、ゲームディレクター、そしてブレディ選手と大坂選手。
それぞれが、それぞれをリスペクトし、感謝と労いと祝意を述べる。
そして、それが世界中の空に続く人々への大いなるメッセージになっていくのである。
大坂選手は、自分のチームに対しては、彼らをファミリーと呼び、何よりもかけがえのない存在と何度も感謝を伝えていた。
けして自分一人ではなく、多くの人たちに支えられているという自覚と感謝。
クォリティーの高い言葉は、人の心に届く。
激しい戦いの後で、お互いをしっかり讃え合える20代の彼女等に、「SDGs」エスディージーズのフィロソフィーそのものであると思った。
対立ではなく、他者の良さを引き出し、尊重し合うことこそ、持続可能なコミュニティや社会を構築できないであろう。
そんな当たり前のことを、全豪オープンテニスを観て、改めて感じたのである。