映画三昧どころか、生活の中から映画が溢れ出す日々を送っている。
今年のYMF山形国際ムービーフェスティバルの応募が8月末で締め切られ、現在は予備審査中の後半に入っている。
フェスティバルそのものが、リアルでできるかリモートになるかは、まだ分からないが、応募作品の審査はしっかり行わなければならない。
今年は、まさかの昨年越えである。
新型コロナウイルス感染症の影響で、新作映画は公開が延期となり、映画館からは客足が遠のき、新作映画の製作もままならない。
テレビドラマやバライティでさえも、収録が延期や休止になっている。
そんなこともあり、YMFへの応募も半減するだろうと思っていたが、なんと、昨年よりも多い222本の応募があった。
8月末から週に3日は、予備審査の日で、夜中までかかるという嬉しい悲鳴である。
そんな中、先週末、ムービーオンでの公開中の映画で興味深い2作品を観られる機会があった。
4時間の間に、2作品をハシゴした。
ブルース・スプリングスティーンの音楽が勇気をくれる移民少年の物語「カセットテープ・ダイアリーズ」と、あのジョン・トラボルタがストーカーを演じる「ファナティック〜ハリウッドの狂愛者」の2作品。
どちらも、憧れのスターと自分の物語である。
「カセットテープ・ダイアリーズ」
1987年、あの時…の物語。
英国の田舎町ルートンで暮らすパキスタン移民の、引っ込み思案でごく平凡な人生を変えたのは、「BOSS」ことブルース・スプリングスティーンの音楽であった。
映画の中で、何度も流れるスプリングスティーンの「プロミスト・ランド」
自動車修理工場で働く若者たちへ、「働けば誰もが豊かになれる」「思い描いた約束の地へ行けるのだ」と、呼びかけている。
この映画の原作者は、パキスタン系英国人ジャーナリストのサルフラズ・マンズール。
彼の父は、GM系列の自動車の工場で働いていた。
スプリングスティーンの父も、フォード自動車の工場で働いていたのだ。
そんな、厳しい労働の中からも、アメリカン・ドリームを掴みたいという、強い思いが伝わってくる。
この強烈なメッセージが、世界中の若者たちの心に響き、スプリングスティーンは、その若者たちから「BOSS」と称され神格化する。
自分たちの若かりし時代の『矢沢永吉』や『クールス』に似ている。
一方で、憧れの存在の銀幕スターが好きすぎて、どんどん接近していくファンの物語「ファナティック〜ハリウッドの狂愛者」である。
これまでも、ストーカーの異常心理を描いた「ミザリー」「ザ・ファン」があるが、それに匹敵する作品に仕上がったのが本作である。
場所はエンターテインメントの聖地ハリウッド。
ストーカー役は、ジョン・トラボルタ。
ドラマが進めば進むほど、トラボルタが演じるストーカーのムースは狂気に包まれていく。息苦しいほどの緊張が、スリラーの様に感じていく。
2作品とも、あっという間の2時間である。
今年の夏は、コロナ禍で、様々なイベントや行事が中止となった。
時間を持て余している方は、是非、この機会に映画三昧も良いのでは?
「カセットテープ・ダイアリーズ」
「ファナティック〜ハリウッドの狂愛者」
どちらも、ムービーオンで公開中!