岩手県久慈市で綴られた心温まる映画がある。
山形県の映画館は、4月24日(金)から全8館が休館に入った。
ゴールデンウィーク明けには、再度、映画館を開けることを願っているが、新型コロナウイルス感染症の罹患状況を見てからの判断であろう。
昨日あたりからは、非常自体宣言の延長による休館要請の延長も報道されている。
見えない猛威を前にして、自らの力で解決できないのが口惜しい。
映画が大好きな自分は、休館前日に、当分観られなくなる映画を見納めた。
その作品が、映画「星屑の町」である。
うだつが上がらないおじさんコーラスグループが、歌手を夢見るヒロインと出会うことで人生が大きく変わり、新たな人生を歩むことになる。
素朴で魅力あふれるヒロインには、NHKの朝ドラ「あまちゃん」で、お茶の間の大人気となったのん。
1994年に、劇作家・演出家の水谷龍二とラサール石井・小宮孝泰が、第1作「星屑の町〜山田修とハローナイツ物語」を上演する。
そのメンバーの積み重ねた演劇全7作が、そこにのんが加わり映画化となった。
映画製作の為に急増したコーラスグループではなく、25年間積み重ねてきた本物感が、スクリーンから伝わってくるので心に響くのである。
ハローナイツと、のんが演じる歌手を夢見る田舎娘の出会いは、あっという間に化学反応を起こし大ヒットするが…。
夢を叶えて、その先に見える本当に大切なものとは?
レトロなポスターの通り、昭和歌謡曲が満載のこの作品。
人と人の距離が近い。
昭和の時代、親子の肩車や、肩を抱き合う仲間たち…。
チームワークや密集のエネルギーがあった。
今は新型コロナウイルスで、ソーシャルディスタンス。
(ソーシャルディスタンス…公衆衛生戦略を表す用語で、疾病の感染拡大を防ぐため、意図的に人と人との物理的距離を保つこと)
自然とコミュニケーションは薄くなり、人との距離感は遠くなる。
その寂しさの中、この映画「星屑の町」は、人と人の距離が近く温かかった。
新型コロナウイルスの猛威、映画館の休館、人の温もりの喪失、岩手県久慈市の人情などなど…様々な思いが駆け巡った。
映画館が再開したら、是非、観てほしい映画である。
岩手県の夜空に輝く星は、とても綺麗だった…。