ケーブルテレビ山形が、岩手ケーブルテレビジョンを経営支援してから、今年で8年になろうとしている。
当時は破綻寸前の状況の中で、多くの方々にご迷惑をおかけし、ほとんど死にかけていたのが岩手ケーブルテレビジョンだった。
建て直すことなどは到底無理だと言われていたが、針の穴に糸を通すように慎重な作業を重ね、なんとか航海を再開できるまで、やっと漕ぎ着けたのが翌年。
いよいよ再出発したと思った2年後、突然複数のメガバンクからの約10億円の返還要求と訴訟。
岩手ケーブルテレビジョンの元社長のW氏が、岩手ケーブルテレビジョンの口座を使い、10億円程度の使途不明の資金を複数のメガバンクから借りて、自分の一族の会社なのか個人なのか、岩手ケーブルテレビジョンとは全く関係のないところで使っていたのである。
W氏の一族の会社が倒産したことで、明るみになった使途不明金。
ケーブルテレビ山形が参入する以前の事件だが、当時の岩手ケーブルテレビジョンの取締役会も通っていない多額の借入金であり、当時の決算書にも乗っていないし、会社の通帳にも記録が乗っていない。
デューデリー(企業診断)にも引っ掛からないW氏が東京で、個人で作った岩手ケーブルテレビジョンの通帳を利用していた。
これらの事実は寝耳に水。
え?
借りた方も借りた方だけど、貸した方も貸した方。
メガバンクが、岩手ケーブルテレビジョンの決算書にも乗らない貸付をするのだろうか?
使用使途が違うのに、そんな多大な資金を貸すのだろうか?
疑問しか持たなかった。
その資金に巣食う悪質な群らがる人々。
確信犯なのだろうか?
知っていたのは誰?
その辺は、闇の中に葬られる。
裁判と平行して、内閣総理大臣、財務大臣、警視総監、警察庁長官、検察庁長官、金融庁長官、国税庁長官と特捜部、総務大臣、メガバンクの頭取方へ、事実関係を調査し、分厚い『平成の直江状』を直接送った。
返事をいただいた方や、様々なアドバイスを承る方もいらした。
W氏は多額の資金を何に使ったのか…。
かなり、広範囲の方々が知っていたか、薄々気がついていたようであった。
裁判では、岩手ケーブルテレビジョンで使用した資金ではないことが証明された。
自分達の主張は通ったのである。
しかし、知らないとはいえ、岩手ケーブルテレビジョンの口座(というよりW氏が勝手に作った口座)に資金が入金されたのは事実。(W氏が当日すぐ引き出すか、当日そのメガバンクに貯金させられていたが…。)
メガバンク2行で約10億円の訴訟であったが、和解が成立し、半分以下の和解金の支払いで決着した。
弁護士の先生方、岩手県の金融機関、岩手県、盛岡市、山形銀行など…皆さんから支えてもらい息を繋げた。
大変な状況から生還したのである。
自分達の経営参画の大義は、3万世帯の岩手ケーブルテレビジョンの加入者の皆さんへ、テレビ番組を送信しているケーブルテレビ局を守り抜くことが初動機だった。
それは、裁判中も揺るがなかった。
今、岩手ケーブルテレビジョンは、資本金を1億円に減資し、着実に黒字体質に変わってきている。
そんな岩手ケーブルテレビジョンの面々と事業内容を分析し、打ち合わせをする。
そして昨年末に、岩手ケーブルテレビジョンの株主総会で、代表取締役専務に阿部常務の昇格。
小川部長は取締役会に昇格。
どちらも岩手ケーブルテレビジョンのプロパー社員である。
岩手ケーブルテレビジョンの代表取締役社長の笹原氏も含めて、昇進のお祝いをした。
山形から赴任した、斉藤健が常務取締役を担う。
一生懸命頑張れば、きっと成功し、岩手ケーブルテレビジョンを再建した意味が何だったのか?…参画した初動機をみんなが解ってくれると信じている。
それこそが、岩手ケーブルテレビジョンのアイデンティティの確立であると思う。
物語は、やっとプロローグが終わったばかり…。ここからが本番である。
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岩手ケーブルテレビジョンのアイデンティティ
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