3月3日(木)、山形のシネマ通りにある、NANA-BEANS隣りの「喫茶・白十字」に伺った。
先日、「白十字」には、ダイバーシティメディアが制作を担当したBSの新番組の収録でお邪魔したのだ。
芥川賞受賞作家の又吉直樹さんが、東北の町々を訪れる番組である。
実は、「白十字」を経営なさっている93歳の山崎恵子さんは、自分の父親と親しく、父が山形市長に就任した際も、よくこの「白十字」に来ていたそうだ。
恵子さんの娘さんのご主人は、父の秘書として働いていた。
当時、自分はまだ大学生で、いろんな事を教えていただき、4歳上の彼が、とても大人に見えていた。
自分は、その奥さんである娘さんを、その頃から知っていた。
父の秘書を辞めNHKに就職してからは、ほとんどお会いしていない。
ご主人は今も東京のNHK放送センターに努めており、東京にいるそうだ。
数年前に、奥さんだけが山形戻り、お母さんを支えている。
幾重にも重なるご縁深い場所なのに、これまで一度も訪れなかった不義理。
ずっと、「行こう行こう」と思っていたが、やっとこの日、「先日の収録の御礼」として、お邪魔することができたのである。
山崎恵子さんと娘さんがいらっしゃった。
「あら、和文くん?」と娘さん。
山崎恵子さんは、「お父さんとそっくり。」
その後、近況報告や前述のお話をお聞きした。
「これ、ミモザの花。」
「東京の自宅の庭に咲いているのを、主人が切って送ってくれたの。」
3月8日は、世界女性デーで、ミモザの花を女性に贈るとのこと。
「なんて、ご主人は素敵なんだろう!相変わらずカッコいいですね!」と自分。
カウンターの奥には、又吉直樹さんのサインが…。
改めて、先日の収録の御礼をする。
番組では使ってないが、又吉さんが、この店の本棚で見つけた「火花」の本。
それを手に取った又吉さん。
「これ書いたの俺」
93歳の山崎恵子さんは読書家で、又吉さんの書いた「火花」を読まれていて、又吉さんのことを知っていたこと…そこに又吉さんが来たこと…これは奇跡だと思ったのである。
このエピソードは、ずっと語り継いでいってほしい。
そんな事を、山崎恵子さんと娘さんと話す。
店の中は、まるで、七日町の街並みの博物館。
七日町の「絵と額縁」が飾ってある。
とても素敵で、永遠の時が流れているような錯覚すら覚えるのだ。
この日飲んだコーヒーは、格別であった。
次は、名物のカレーを食べに来ようと思った。
ちなみに、ネットで「白十字」の歴史を調べてみると、創業は約50年前の1973年である。
満州で暮らしていた山崎恵子さんと旦那さん。
生きて日本に帰ることができたなら、「白十字」という喫茶店をやりたいとの願いが叶いオープンしたらしい。
旦那さんが亡くなってからは、お一人で切り盛りされていたとのこと。
まだまだお元気な山崎恵子さん。
聡明で温かいおばあちゃんである。
益々のご活躍を祈念いたします。