この世の中で、最も高貴で尊い色とされる紫。
その紫が揺れる。
山形ワイヴァンズのチームカラーである紫色のタオルが躍動し、熱く燃えたぎるエネルギーが、コート場の選手達に伝播する。
いつも一緒に戦っている。
そんな言葉をかけてくれるブースターの方々。
2013年に、山形県内の様々な企業が中心となり、東北6県の中で最後に誕生したプロバスケットチームが山形ワイヴァンズである。
象徴としてシンボルになったのは、紫の龍である。
まさに、民意によって、この地に舞い降りたのだ。
闘将、ミオドラグ・ライコビッチ。
昨シーズンは、その前のシーズンで最下位だった山形ワイヴァンズを、プレーオフに出場できるチームまで育て上げた。
セルビア出身のヘッドコーチは、誰もが驚くバスケット戦略を描き、他チームの選手たちでさえ、その才能を高く評価している。
今年に入ってすぐの試合で、3人の外国籍選手の一人であるオーランド・サンチェスが大怪我をしたのである。
試合に出場する5人の選手のうち、普通2人が外国籍選手。
その2人が、得点の大部分を叩き出すのが今の日本のバスケットボールである。
よって、そこに当てる3人の外国籍選手のうち一人が欠けることは、大きな戦力的マイナスになるのである。
コロナウイルスのオミクロン株の急激な感染拡大で、政府は水際対策を強化して、新たな選手が海外から入国することは不可能なのだ。
そんな中、ジャワッド・ウィリアムズと、ケニー・ローソン・Jr.が、満身創痍で戦っている。
しかし、今年に入ってからの戦績は1勝7敗。
1/1佐賀バルーナーズ●
1/2佐賀バルーナーズ○
1/22熊本ヴォルターズ●
1/23熊本ヴォルターズ●
1/29仙台89ERS●
1/30仙台89ERS●
2/12西宮ストークス●
2/13西宮ストークス●
その間も、選手1人が新型コロナウイルス感染症になり、チームは全員自宅待機となり、まったく練習できない状況であったのも、今のチーム状況の要因の一つである。
先週の試合は、そんな状況の中でも、シーソーゲームの互角の試合であった。
まだ、勝ち切れるまでの状態ではなかったが、1試合目は69対72の3点差、2試合目は72対73の1点差まで詰め寄った。
選手たちも、最後まで必死に戦ってくれた。
再生の兆しが見えた試合であった。
ライコビッチのバスケット戦術も、ここに来て浸透してきているような気がする。
それにも増して、この2試合は、必死に応援してくれた山形ワイヴァンズブースターの熱量が、選手たちの「勝ちたい!」という思いを後押ししてくれたのは言うまでもない。
また、チーム内からも、「集中してイージーミスやファウルを減らし、ワイヴァンズらしいONE TEAMの戦いをしよう」と、再生の息吹が生まれている。
ここからが、正念場なのだ。
薄氷の上を歩いている様なチーム状況であるが、いつの日か、紫龍が青空を大きく旋回しているように、逞しいチームになることを目指し、今を乗り切りたいと思う。
残り2ヶ月半、ブースターやファンの皆さんに、一層のご支援をお願い申し上げます。