この秋、2本の映画が、世間では話題になっている。
「老後の資金がありません」と「そして、バトンは渡された」である。
前者からは心からの笑いをいただき、後者からは感動の涙をいただいた。
驚くことに、この2作品の監督は、同一人物の前田哲監督である。
コロナ禍の影響で公開が延期され、2作品が同じ時期の公開となったが、それぞれが素晴らしい映画で、今回、脂の乗った前田哲監督とお会いできたのだ。
YMF・山形国際ムービーフェスティバルの開催は、11月12日(金)からの3日間。
その前日の11月11日(木)の午後から、ムービーオンにて、マスコミの取材や舞台挨拶が行われたのである。
「老後の資金がありません!」は、公開よりしばらく経ったにも関わらず、多くのお客様から来場いただいた。
前田監督が放つトークは相変わらず面白く、自然に話す言葉の中にユーモアやジョークが沢山盛り込まれ、会場は笑いで沸いたのである。
草笛光子さんと天海祐希さんに触れると、お客様の反応がとても良かった。
特に、「『人間、わがままに生きた方が勝ちよ』と言うセリフは、日々我慢しながら懸命に生きている主婦の皆さんへの応援メッセージ!」と言う前田監督の言葉には、多くの方々が頷いていた。
力のある役者さんが、自然な演技の中で、素晴らしい感動シーンを創造できると話す前田監督。
映画の世界に10代から入り、約40年間で培った能力、そして、その職人的な真実を突く目は、さらに磨きがかかったと感じた。
初舞台挨拶を経験した、ダイバーシティメディアの神賀アナウンサーにも、監督や東映 のスタッフが、「上手だったよ!」と、声をかけてくださった。
周囲への目配り心遣いは、流石なものがある。
前田監督との初めての出会いは、2013年である。
当時、東北芸術工科大学で教鞭を取っていた前田監督へ、YMFプレイベントの「山形市民大学」を開催するにあたり、講師やワークショップなどの依頼に、山形市担当者と映画祭スタッフが伺ったことからご縁ができ、10月27日に、自分は初めてお会いした。
とても誠実で、真面目な方だとの印象があった。
その後、とても深いお付き合いになる加藤正人さんも、この時ご一緒だった。
前田哲監督は、「ブタがいた教室」を、市民大学の題材にされたのである。
翌年の2014年は、ワークショップを開催していただき、市民の方々と映画を一本作られた。
また、山形国際ムービーフェスティバルでは、招待作品「ドルフィンブルー フジ・もういちど宙へ」の上映の際、松山ケンイチさんと共に、舞台挨拶をしてくださったのである。
今回、久しぶりにお話ししたが、大阪の笑いの気質で、トークはさらに面白さに磨きがかかっている。
2作品ともキャスティングが素晴らしく、映画の組み立ても素晴らしかったと伝えた。
来年は、まだまだ映画を撮ります!と言われ、またの再会を約束して、別れたのである。
東京では、大ヒット舞台挨拶が行われた「老後の資金がありません!」
まだ観ていない方は、是非、ムービーオンへ。
映画を観て、勇気と元気を貰ってください!