観終わって、しばらくは席から立ちたくなかった…。
映画の中のシーンやセリフを、もう一度振り返っていた。
心の中に、深く沁みていく…、「ドライブ・マイ・カー」は、そんな映画である。
妻を失った男の喪失と希望を綴ったこの作品は、作家・村上春樹の珠玉の短編小説であり、一つ一つの文脈や言葉が、輝いていた。
監督と脚本は、濱口竜介氏。
これまで、カンヌ(寝ても覚めても)、ベルリン(偶然と想像)、ヴェネチア(スパイの妻)など、世界の三大映画祭を席巻してきた。
ドライバーのみさき役は、多彩な才能で注目を集める三浦透子。
知的でセクシーな魅力的な妻を演じるのは、霧島れいか。
そして、物語にさざ波を立てる高槻を演じる岡田将生。
さらには、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、ドイツ、マレーシアからオーデションで選ばれた海外キャストや、劇中の多言語劇は、とても不思議で斬新であった。
サーブ900は、主人公の家福の愛車であるが、既に2017年にそのブランドは消滅している。
主人公の人生と重なって見えるから不思議である。
コロナ禍の今だからこそ、心が満たされる本物を、是非、映画館で観て欲しい。
ムービーオンやまがたで上映中!