2016年のリオデジャネイロオリンピックで銅メダリストに輝いた高藤直寿選手。
その年の10月5日、東海大学山形高校の創立60周年創立記念日に開催した生徒たちへ向けた特別トークショーに、山形県までお越しにいただいた。
高藤選手は東海大学のOBということもあり、なおかつ、東海大学の多くの関係者の皆さんのお力添えも賜り、超過密スケジュールの中、素晴らしいお話をお聞きしたのである。
とても素直で真っ直ぐな方であり、既に4年後の東京オリンピックを見据えておられた。
また、野球、サッカーに続いて、バスケットボールもプロ化した時期でもあり、「スポーツで生きていく」「柔道で生活していく」ことを、真剣に語り合ったことを記憶している。
高藤選手とボクシングの世界チャンピオンの井上尚弥氏は同い年で親しく、「全てを賭けて試合に臨む気概」などについてもお聞きした。
そんな、いつも真剣勝負で、命懸けの戦いの高藤選手が、東京オリンピック2020の最初の金メダルを獲得したのである。
5年前のリオ直後の、あの悔しさを晴らしたのだ。
素晴らしい精神力である。
決勝の台湾・楊選手との闘いは、まさに死闘のようだった。
体力的にも限界の中、精神力だけで闘っていたと思った。
そして、直後のインタビューでは、「派手な技はできなかったけど、これが自分らしい柔道です。多くの支えてくださった方々のお陰です。」と男泣き。
自分もだが、多くの方々が、貰い泣きをしていただろう。
吉田秀彦氏は、高藤選手が所属する会社「パーク24」の柔道部の監督。
感激ひとしおであったろう。
高藤直寿選手は、金メダルを手に、世界一の輝きを放っていた。
表彰式では、最高の笑顔であった。
心よりお祝いを申し上げたい。
今から5年前、高藤選手は、東海大学山形高校の生徒達に多くのメッセージを放ち、銅メダルを首にかけてくださり、柔道部の選手たちには技を掛けてくださった。
生徒たちの心の中で、あの日の思い出が、今日の金メダル獲得への物語として続き、感動のフィナーレを迎えたに違いないと思った。
そして、また今日から、「新たな物語」が始まった…そう思うのである。