今シーズンの4戦目(ホーム2戦目)となる山形ワイヴァンズと福島ファイヤーボンズの試合が、10月11日(日)に、天童市の山形県総合運動公園アリーナにて行われた。
また、この日は、全日本のトップチームにも選ばれた経験を持つ栗原貴宏選手の引退試合にもなった。
試合後、栗原選手の引退セレモニーが行われた。
彼をこれまで支えてくれた方々に囲まれ、早すぎる引退ではあったが、愛情溢れる感動的なセレモニーとなったのである。
現役最後の栗原選手を入れての、山形ワイヴァンズの試合前の写真。
第4クォーター残り19秒。
この日は、山形の企業チームで活躍している伊澤実孝選手も来場してくれた。
以前よりスマートになったようで、元気な笑顔が印象的であった。
今シーズンのワイヴァンズは、ここまで3連敗。
ヘッドコーチのライコビッチや、主力外国人2選手の入国の遅れから、チームとしては不完全な状況が理由であるが、この日は、日本人若手選手がディフェンスなどで大活躍をし、ライコビッチバスケのフィロソフィーを垣間見た気がした。
特に、鶴田美勇士選手のダンクシュートや、相手外国籍選手のマークなど、素晴らしい活躍を見せてくれた。
2日続けての来場者820人越えは、今の時期ではありがたい限りである。
この日、戦況次第での登場予定の栗原選手であったが、最後までチームを鼓舞していた。
そして、その時が来た。
第4クォーター残り19秒。
ライコビッチが、交代を告げ、栗原がコートに立つ。
最後のスリーポイントシュートは、惜しくも外れたが、その瞬間を自分たちは忘れない。
数日前に、栗原選手が会社を訪れ、自分に「引退」について涙ながらに話した言葉を披露する。
慰留したがチームの為には新しい選手を獲得してほしいと、栗原選手は、この期に及んでもチームの勝利を優先していたこと、この日の最後の起用やセレモニーを固辞したことなども、会場の皆さんへ話をする。
途中、不覚にも、思わず感極まって話せなくなってしまった。
それほど、彼の姿勢は潔く、一流のプロアスリートの引き際を目の当たりにしたのである。
栗原選手の挨拶も、涙が溢れて声を詰まらせていた。
東芝時代、栃木ブレックス時代の彼のお世話になった方々も、彼の最後の勇姿を見に来てくれた。
ユニフォームを着て現役を引退できたこと、そして、これまで支えてくれた家族や関係者、さらにファンやブースターへ、大いなる感謝の気持ちを込めて話していた。
山形ワイヴァンズのヘッドコーチのライコビッチと、キャプテンの河野選手から花束が贈られた。
日大東北高校の後輩で、福島ファイヤーボンズの山内翼選手からも花束が贈られた。
全てのスポーツの原点でもある学生時代の先輩後輩。
山内選手は、涙が溢れて止まらない。
栗原を囲んでの山形ワイヴァンズの最後のハドル。
栗原貴宏選手のバスケットヒストリーやスピリットを、山形ワイヴァンズの選手が継承してほしいと心か願う。
最後にコートを一周して、多くの拍手の中、コートを後にしたのである。
人生は、まさにこれからである。
全てがゼロからのスタートであるに違いないが、栗原貴宏選手だったら、きっと新たな人生をしっかり歩んでいけるであろう。
栗原選手の現役最後のシュートを取り上げていた。
マークは、山内翼選手。
ベストショットである。