11月10日(土)、YMF山形国際ムービーフェスティバル開催2日目。
この日は、3本の招待作品のあと、第14回山形国際ムービーフェスティバルのグランプリ作品などの授賞式があった。
毎年、午後3時より選考委員の皆さんが一堂に会し、事前に審査選考していた採点を踏まえて、最終の選考委員会が開かれる。
紅葉の季節。
風が頬に冷たく感じ出す…山形の秋。
この日のトップバッターは、前日に続き、特別招待作品であるネットフリックス「Jimmy〜アホみたいなホンマの話〜」の第3話と第4話。
ジミー大西さんが、この日も舞台挨拶に立ってくれた。
前日のオープニング上映では、ジミー役の中尾明慶さんが登場したが、仕事の為、朝イチで東京に帰られた。
しかし、ジミー大西さん1人でも、十分過ぎる存在感とおもしろトークである。
主演の木竜麻生さん、寛一郎くん、仁科あいさんが登場し、菊とギロチンで歌われる「女相撲の歌」を歌った。
女相撲…天童市が発祥の地である。
確か、自分の小学校の同級生の石山氏のお祖父さんが、興行主だったと記憶している。
そんな身近な題材を、自分と同じ年の友、瀬々監督が見事に描く。
ロゴス的な論理やイデオロギーを、パトス的感情や情緒が凌駕する物語である。
会場を出たコリドールでのサイン会は、多くの方々でいっぱいになる。
そして、2日目最後の招待作品は、この日が日本初上映となった、吉行和子さん主演の浜野佐知監督作品「雪子さんの足音」である。
前日に、YMFの会場となるムービーオンやまがたへ、直接DCPを運んで来られた、浜野佐知監督。
一昨日、やっと完成したばかりの作品である。
上映に間にあわせる為に、突貫で作った産みたてのホヤホヤと話していた。
この日も、しゃんとしてらして、存在感と人柄が滲み出ていた。
YMF山形国際ムービーフェスティバルのイメージ女優やナビゲーター、最近では授賞式のプレゼンターを務めてくれている菜葉菜。
来年2月には、主演映画「赤い雪」が公開される。
寛一郎くんは、佐藤浩市さんの息子で、三國連太郎さんの孫というサラブレッド。
この日は2回目の舞台挨拶。
「菊とギロチン」「雪子さんの足音」とダブル舞台挨拶となった。
「心が叫びたがってるんだ」が初公開作品。
浜野佐知監督なクレバーさや熱量も伝わる、とても豪華な舞台挨拶となった。
夕方には、東北芸術工科大学企画構想学科の学生たちが、ムービーオン前の県道で、「スマートドライバー」の啓発イベントを開催していた。
そもそも「スマートドライバー」は、YMF山形国際ムービーフェスティバルの特別顧問であり、東北芸術工科大学企画構想学科長の小山薫堂氏が東京で狼煙を上げた運動である。
「東京スマートドライバー」がそれである。
イライラせず、アクセルを吹かさず、譲り合いって運転をすること…それによって、排出ガスを削減し、心も地球もクリーンであるという運動。
ダイバーシティメディアの吉村和康メディア戦略局長も、小山薫堂氏が主宰するオレンジ&パートナーズに勤務していた頃は、事務局長としてその中心にいた。
東北芸術工科大学企画構想学科の運動と、YMF山形国際ムービーフェスティバルのコラボイベントとなった。
シアター5では、2週間前から全ノミネート作品が上映されており、観客の投票により、観客賞をそのまま選ぶ仕組みを設けた。
そして、選考委員会が始まる。
まずは運営委員長の自分より、14回を迎えたYMF山形国際ムービーフェスティバルに、力強くご支援いただいていることへ感謝申し上げる。
村川透選考委員長からは、しっかり議論を尽くして各賞を選びたいとのお言葉があった。
古賀俊輔氏。
「火花」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「ナラタージュ」などのヒットメーカーの敏腕プロデューサー。
紀伊宗之氏。
鬼才と呼ばれる東映の映画製作プロデューサーであり、「リップヴァンウィンクルの花嫁」「孤狼の血」などの話題作を手がける。
石垣裕之氏。
WOWOW事業局長であり、「白夜行」「ヘルタースケルター」などのエグゼクティブプロデューサー。山形県立山形南高校出身で、村川透監督や自分の後輩である。
厚川欣也氏。
デジタルガレージ、クリェイテブフェロー。
林郁CEO直轄の芸術性溢れるクリエイターである。
奥田誠治氏。
松竹エグゼクティブプロデューサー。
日本テレビ時代は、多数のジブリ作品を手がけ、「20世紀少年シリーズ」や「ALWAYS三丁目の夕日」「海賊とよばれた男」などを手がける大御所。
増岡厳氏。
日本テクトホールディングス社長。
YMFを主催する東北ケーブルテレビネットワークやダイバーシティメディアグループを支援。
現在、ITとAIを活用した診断による、認知症の早期発見に取り組んでいる。
船越英一郎氏。
全国的に活躍している俳優であり、サスペンスの帝王と呼ばれ、最近ではNHKの昼の顔。
YMF山形国際ムービーフェスティバルを、日本のサンダンス映画祭にしようと、13年間、熱く語り続けるYMFのシンボル。
今回の最終ノミネート作品は、とても出来が良いが、突き抜けるような映画は少なかったとの評価が多かった。
その中でも、脚本が上手で、演出もしっかりして、撮影技術も高い作品が数作品あった。
今年も例年どおり、各委員が、様々な視点で激論を交わしたのである。
村川委員長は、「スジ(物語)と、ヌキ(光と空間)、動作(役者やエキストラを動かす)の基本を、もっとしっかり勉強してほしい!」と総括された。
スカラシップ制度は、新たな長編映画の企画、プロットを提出してもらい、選考委員会の決定を受け、最大で1億円の製作費が与えられる。
通常は、グランプリ作品のみが権利を得るが、今回は、将来性を考慮して、準グランプリの受賞監督にも、そのチャンスを広げる。
ムービーオンの高橋常務と、表彰式の最終打ち合わせをする。
最終ノミネート作品の監督たちが勢揃い。
緊張、不安、希望を抱く若きクリエイターたち。
彼らの為に、このムービーフェスティバルがある。
選考委員やゲストや招待者も席につき、その時を待つ。
運営委員長の自分からは、第14回のYMF山形国際ムービーフェスティバルを開催できたことへの御礼を申し上げた。
「35ミリのフィルムからDCPへ、アナログからデジタルへ、さらに4K放送の12月からの開始、4Gから5Gへの移行と、技術革新、科学の進歩は驚くべき速度で変化している。
しかし、もっとも大切なのは、映画にしても、コンテンツにしても、「何を作りたいか?」「何を伝えたいか?」ということである。」と話す。
「才能よ、雪に埋もれるな。」
どんな才能が発掘できるのか?
表彰式の開会を宣言した。
温泉や食も日本に誇れる。
山形県に全国からいらしていただき御礼を申し上げます…と、ご挨拶をされた。
日本映像事業協会の澤田隆治会長は、東北の地で、この映画祭は素晴らしいと 挨拶をいただく。
エンツォフェラーリや、秋田、北陸新幹線などのデザインを手がけた、奥山清行さんがデザインしたトロフィー。
山形鋳物の菊地保寿堂が制作を担当する。
毎年、協賛を頂いている、大西金属賞、日本テクト賞、NID賞の発表。
気仙沼ケーブルテレビネットワークの濱田専務。
岩手ケーブルテレビジョンの阿部社長。
秋田ケーブルテレビの末広副社長。
青森ケーブルテレビの石井専務。
東北の各ケーブルテレビのトップから、入選の監督の発表が行われた。
船越英一郎賞(最優秀俳優賞)は、「CARPE DIEM」柿本朱里さん。
準グランプリは、永井和男監督の「霞立つ」
そして、第14回YMF山形国際ムービーフェスティバルのグランプリに輝いたのは、作品名「老ナルキソス」の東海林毅監督☆
村川透選考委員長は、若きクリエイターたちに向け、「今日は明日の為にある!」と繰り返しメッセージを話す。
☆以下、受賞作品☆
選考委員特別賞
「コロコロワニのスタンリー」米岡孝監督
観客賞
「しらないで」谷口雄一郎監督
脚本賞
「老ナルキソス」東海林毅監督
村川透監督賞
「CARPE DIEM」小原剛監督・小原健監督
日本テクトホールディングス賞
「CARPE DIEM」小原剛監督・小原健監督
大西金属賞
「コロコロワニのスタンリー」米岡孝監督
NID東北賞
「公衆電話」 松本動監督
入選
「シンデレラのさえずりを聞け」中野森監督
入選
「しらないで」谷口雄一郎監督
入選
「公衆電話」松本動監督
入選
「FOUR」たかひろや監督
入選
「迷子の海辺」梅田寿美子監督
入選
「思い出をはこぶ歌」村松大翔思監督
271本の応募作品監督の皆さん、今日の喜びも悲しみも、成功も失敗も、全て明日の為にある…村川透監督の熱いメッセージである。
来年も是非お待ちしています!