山田洋次監督曰く…今回は妻への讃歌です。
専業主婦の家事がどれだけ大変か、家族にとって主婦の存在がどれだけ重要な意味を持っているか。
前回は、老人の貧困がテーマ。
今回は、家族内に内在していた夫婦の問題が噴出。
妻がいなくなって、みんなオロオロ。
楽しくも味わい深い喜劇です。
山田監督が言うように、とても日常に、ありきたりなテーマである。
どこの家族でも、ありがちなテーマである。
だから、心にストンと入ってくるし、その描写が、「あるある」なのだ。
仕事が忙しいと、不機嫌になる夫。
誰よりも傲慢で、誰よりも自分が一番の夫。
ここまで書いて、肩身が狭くなる自分がいるのも確か。
たぶん、世の夫達は、少なからず、同じようなセリフを吐く。
緊急招集の平田家の家族会議。
ヘソクリが見つかり、それは俺が稼いだ金のピンハネだと言った夫の一言は、これまでの「主婦の忍耐」を爆発させてしまったのだ!
夫の平田幸之助(西村まさ彦)へ、妻の史枝(夏川結衣)に謝って迎えにいくように勧める弟の庄太(妻夫木聡)
しかし、剣もほろろである。
みんなが、右往左往し、こんなにも主婦の家事が大変なことを、改めて知るのだ。
林家さんの演技で、吹き出してしまったシーンが数箇所あった。
まさに、この映画は喜劇なのだ。
最後はやっぱり夫婦。
ちょっとした優しさ、思いやりが、全ての氷を溶かすのである。
ワンシーン、ワンカットの山田洋次作品。
予定基調だが、そこに入り込んでいる楽しさと、安心感がある。
是非、ささくれた日常を過ごしている方は、是非、観てほしい!