ご年始の挨拶に、山形銀行の長谷川吉茂頭取を訪問した。
その時、応接室の上に置いてある寒梅の盆栽に心惹かれたのである。
日本には、四季の物語があり、春夏秋冬の旬の良さがある。
そこに心が動く。
想いが働くと言った方が良いだろうか…。
橋本生花さんからのお届けものとのこと。
素晴らしいの一言に尽きる。
ただの寒梅の盆栽ではなく、今年一年に幸多きことを願って、様々な工夫が施されているのだ。
鶴もいるし、松もある。
そこに、お茶と一緒に運ばれて来たのが、「松竹梅」の和菓子。
自分は、何度もこの応接室に伺っているが、たぶん時期もあるだろうが、初めての体験であった。
前のお客さんも、このお菓子を食べられて帰ったそうである。
頭取の祖父の時代は、松倉さんに依頼したそうだが、現在は、佐藤屋さんに作ってもらっているとのこと。
「松竹梅」は、慶次、吉祥のシンボルであり、もともとは中国で「歳寒の三友」と言われた。
厳しい寒さの中、松は平常心、竹は節度、梅は忍耐とのこと。
ここまで話を聞いた時点で、我が師の相変わらずの教養溢れる言葉で、心が洗われたのである。
「寒梅の盆栽や、松竹梅のお菓子のことを、ブログでアップして、多くの皆さんにお見せしてよろしいですか?」と、長谷川頭取にお聞きしたら、「かまわない。どうぞやってください。」とのご許可をいただいたので、写真を撮らせてもらい、この話を書いている。
夜中、自宅に戻り、少し調べた。
この図は、趙孟堅の「歳寒三友図」であり、13世紀のものである。
長谷川頭取は、「四君子」の話もされた。
蘭、竹、菊、梅の4種は、草木の中の君子と称えた言葉である。
当時の中国の文人達は、徳と学識と礼儀を備えた高き人物を目指した。
辺景昭の花鳥図「三友百禽図」で15世紀のものである。
勝海舟が、無血開城を決めた西郷隆盛との会談の際に、「お茶とは何か?」と聞いたという。
西郷は、「人をもてなす心の働き」と答えた。
様々な仕草や、掛け軸や花、器や作法は、心を目に見えるものに置き換えるということらしい。
つまり、全ては、本質を現象化するものである。
東北で老分になられた人は、過去に数名しかいないだろう。
当たり前のことであるが、もてなしとは、心の働きなのである。
それを感じた山形銀行応接室での出来事であった。
1月22日(月)、吉永小百合さんが山形に来られ、映画「北の桜守」の上映会をやまぎんホールで開催する。
その時に、長谷川吉茂頭取から鑑賞する会の委員長としてご挨拶を賜ることを、最後の最後にお願いさせてもらったのである。