汽車を待つ君の横で
僕は 時計を気にしてる 季節外れの雪が降ってる♪
「東京で見る雪は これが 最後ね」と
寂しそうに君が呟く♪
…まだ中学生だった自分の心に、染み込んできた歌詞であった。
フォークグループ『かぐや姫』の曲で、作詞作曲は正やんこと、伊勢正三である。
その後、この『なごり雪』は、正やんの妹分のイルカが歌って大ヒットとなる。
自分は、中学1年生からフォークソングを聞き出し、中学2年生でギターを弾きながら歌うようになっていく。
初めての作詞作曲は、中学2年生の夏くらい…。
『月曜日の朝』という曲だった。
かなり、NSPから影響を受けた曲だった。
しかし、『かぐや姫』の曲や、伊勢正三の曲との出会いは、かなり衝撃的であり、彼らの曲は、人の内面というか、心の動きを、目に見える自然や町並みと重ねて表現していた。
当時の自分は、『なごり雪』という言葉も知らなければ、東京の駅のホームでの別れも、想像する力…イマジネーションはまったくなかった。
何よりも、異性と『愛する喜び』や『別れる悲しみ』なんて、経験したことすらなかった。
しかし、その時から、東京への興味や、月や風や雨や雪の意味、花々の輝きや川のせせらぎ、そんなことまで、ビンビン心に伝わってくる感じがしたのである。
きっと、意識が自分の外の『ざわめき』や『息吹き』などに向いていったのであろう。
あの頃に出会った曲達は、自分の心を育ててくれた。
そんなことを思い出してしまった今日の雪であった。
明日からは4月だというのに、麗らかな春の3月31日に雪が降ったのである。
春は、別れと出会いの季節…。
人は、出会いと別れを繰り返しながら、強く、そして優しい大人になっていく。
『季節の物語』の束の間の瞬間に、様々な思いが交差するのであれば、それを感じる力を養わなければならないのだろう。
今日の雪が、今年の春を迎える最後の雪になるのであろうか…。
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なごり雪。
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