なかなか、真実を語れない場合がある。
みんなで同じ方向に向かっている時(発表会や試合など)、重要な日が目の前に迫っている時(関係者の生死や受験など)、真実を語る事でチームや組織がダメージや存続の危機にさらされる時、裁判等の司法の場で争っている時など、そんな時は、内部的に解決をみるか、重要な日時を越すか…、何らかの進展がないと真実を語れない。
世間やファンは、情報量が少ないので、当然納得がいかない人も出てくる。
何故、ダン・ジェニングスが契約解除になったのかも、具体的な話ができなかったこともあり、ファンの皆さんからの質問があった。
特に、その決断が、組織のトップの裁量の中でのものであれば、尚更ちゃんと答えなければならないと思う。
パスラボ山形ワイヴァンズを運営している株式会社パスラボの責任者として、これまでの経緯と真実を話したい。
今日まで、パスラボ山形ワイヴァンズは、全日本バスケットボール選手権大会に出場していたが、トヨタ自動車に敗れ、帰路についた。
全日本バスケットボール選手権大会が終わるまでは封印していたが、後半戦の為に、今シーズンの前半戦の選手契約の解除について、しっかり総括したいと思う。
中川真雄については、全国ニュースまで取り上げられたが、今までに1度も、運転免許を所得せずに、車を購入し、運転していたとのことで、山形県警察から検察へ書類送検された。
コンプライアンス違反による契約違反となり、選手契約は解除。
プロバスケット界としても、初めてのケースらしい。
キャプテンの加納が骨折、副キャプテンの石川も骨折、そして、中川真雄の不祥事による契約解除。
当初11人いた選手が、8人となり、それでもみんなが全力で戦っていたのだ。
いよいよ、12月5日(土)と6日(日)の両日、レギュラーシーズン第7節。
山形県総合運動公園アリーナにて、NBDL2位のパスラボ山形ワイヴァンズは、NBDL1位のトヨタ通商ファイティングイーグルス名古屋との、頂上決線に臨んだのである。
初戦は、パスラボ山形ワイヴァンズは全力で戦ったが、ダン・シェニングスは執拗なマークや、ダンよりも身長が高い豊田通商のソロモン選手から、完全に押し負けていた。
苛立ちを隠せないダンは、審判に罵声を浴びせテクニカルファールを取られる。
豊田通商を、一桁差まで追い上げていた時だったので、とても痛いファールであったし、たぶんダン自身がそのファールの意味を一番知っていたと思う。
結局、豊田通商との、第1戦は敗れ、チーム全員が、翌日の2戦目へと、気持ちを切り換えたのである。
ダンは、まだ25歳と若く感情の起伏があり、日本暮らしは初めてで、寒いとも言っていた。
以前も、感情的になり、「ティップオフパーティーには出席しない!」と部屋から出てこなくなり、スタッフやフロントの説得で、なんとかギリギリ、パーディーに間に合ったこともあった。
そんなダンを、この日まで引っ張ってきてくれたのが、金澤ヘッドコーチはもちろんだが、ビリーや柏倉のベテラン選手陣、そして、GMやフロントスタッフ達。
しかし、この日のダンは、いつも以上にエキサイトしており、サイン会をドタキャンして、車から出てこないと言う。
別の会議に出ていた自分に、飛び込んできた情報は、「ダンが、明日試合を欠場して、アメリカに帰ると言っている」とのこと。
耳を疑う。
帰る理由は、「知人が亡くなったから」とのこと。
パスラボ山形側は、「明日は豊田通商との頂上決戦の2試合目。それが終わってから、1週間後の次の試合まで、時間があるから、その間にアメリカへ帰ってくればいい!」と提案したが、耳を貸さない。
契約上は、プロの公式試合に出ないということはありえないし、契約上許されることではない。
プロ野球でも、プロテニスでも、プロボクシングでも、「亡くなった人へのお参りにいくから試合には出ない!」なんてことが通じる訳がないし、契約上もダメである。
翌日の試合が終わってから帰ればいい…そうすれば問題ないと、何度話してもダメであった。
結局、翌日の豊田通商戦は無断欠場…その後の練習にも、顔を出さない…メディアには、『本人都合で欠場』と、そのままリリースした。
リーグにも意見を聞き、エージェントとも話をして、顧問弁護士からも力を借りて、契約解除とした。
そして、ダン・シェニングスは、昨年末にアメリカへ帰ったのである。
プロ意識として、あまりに未熟で、情けないやら残念やらで、自分達も消化できない日々が続いた。
しかし、ビリーや柏倉は非常にプロ意識が高く、そんなことで足踏みしたくないとのこと…いよいよ7人での戦いに突入していくのである。
自分もフロントも、とにかく、ダン以上の優れた選手を、後半戦までは、必ず補強獲得すると誓った。
そして、全日本バスケットボール選手権大会には、柏倉も出られずに、6人で戦うこととなる。
1回戦は、社会人1位の九州電力からの勝利。
2回戦は、社会人2位の黒田電気からの勝利。
そして、今日は、NBL第1位の王者、トヨタ自動車アルバルク東京との3回戦。
ビリー、村上、高橋、藤岡、ケント、佐々木の6人で全日本を戦い抜いたのである…素晴らしい写真である。
しかし、試合では圧倒され、敗退。
控え選手ですら日本代表級のトヨタ自動車は強すぎた。
その王者との一戦は、とても大きい財産となったであろう。
今回、圧倒的なレベルの「差」を見せつけられた。
しかし、自分達は知っている。
「差」こそ「力」であることを…。
Dream,Over The Dream
夢の先には、きっとまだ夢の続きが待っている
東京まで応援に行ってくださったブースターやファンの皆さんに、心よりの感謝です。
柏倉選手と先日はなした。
彼のバスケット人生の中でも、数ヵ月の間に、キャプテンと副キャプテンが骨折し、前代未聞の不祥事で契約解除になり、試合放棄してアメリカに帰るなんて、初めての経験とのこと。
だから、尚更、メイク・ドラマ…をしたいと。
2016年1月23日(土)、後半戦がスタートする。
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「ダン・シェニングスの真実」と「全日本バスケット選手権」
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