真夜中の五分前に、こんなにも美しく、神秘的な魅力を放つ女性と出会えるなんて…。
この映画を観たとき、率直にそう思った…。
その瞬間から、彼女から魔法をかけられてしまったような時間だった。
この映画は、友人である行定勲監督の最新作である。
脚本も、大好きな堀泉杏さん。
彼女の世界観が好きである。
ルオランとルーメイの双子の姉妹と、その双子の姉妹に恋をする、映画の第一線で活躍するプロデューサーと、上海で時計修理士をしている日本人の不思議な恋の物語である。
『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』『北の零年』『今度は愛妻家』など、常に日本の映画界に話題と衝撃を与えてくれた行定監督。
今回は、中国4000館での公開という、前人未到のチャレンジとなる。
これまでの行定勲のテイストと、アジアの新しい世界観が調和した、深く心に染み渡る映画となる。
主演は三浦春馬。
役柄はぴったりであり、彼の静かな中にも思いが込み上げている表情が醸し出される。
たぶんこの映画を観なければ、出会えなかったリウ・シーシーが、双子の姉妹の二役に挑む。
姉妹の陰と陽、光と影、そして同一性…。
今や中国No.1の女優になろうとしている、1番伸びている女優である。
『五分前』の意味も、いくつも解釈できると感じた。
無敵さも、派手なアクションも、過激な描写も無く、時計の音だけが時間を刻んでいるような映画であるが、上海の街がローマの休日の1シーンのようだったり、プールに浮かんでいる彼女そのものこそ彼女達姉妹そのものだったり、観る側に、イマジネーションを呼び戻す仕掛けを入れ込んだ名作である。
じっくり、詩集を読むような、小説を読むような、至福の時を体感してほしい。
尚、ムービーオンやまがたでは、『真夜中の五分前』の、特設コーナーを作っている。
お立ち寄りを…☆
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映画『真夜中の五分前』
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