全日本プロレスの商標問題や、前運営会社の未払い問題などが不透明な中で、新会社設立と新プロレス団体としての興行という、とても高い障害がある中で、7月2日に山形に集ったメンバーは、悩み多い苦悶の顔ではなく、むしろ晴れ晴れした顔をしていた。
思った…信念とやる気に満ちた顔である。
この日も、スタートである新会社設立の日なのに、試合会場が利用できない問題や、未払いの問題が、次から次へと、秋山社長の携帯に入ってきていた。
しかし、彼を信じてついてきているメンバーは、落ち着いていた…いや、そんなはずはなく、実際の家族の生活やレスラーとしての仕事を考えれば、いてもたってもいられないはずである。
しかし、彼らは泰然自若だった。
それは、ここにいる経営陣も、レスラーも、スタッフも、社員も、みんなが心をひとつにして、新たな一歩…それも歴史的な一歩を踏み出す『覚悟』を持っていたからである。
1億分の1の選ばれた人間しか横綱にはなれない…そんなツーショットは予想もしていなかった。
潮崎さんと、この日2度目の握手…みんなとどれくらい握手したか分からないくらい何度も握手をした。
横綱と、プロバスケットチーム『パスラボ山形ワイヴァンズ』の斉藤GMとのバスケット談義。
ケーブルテレビ山形の鈴木淳予アナウンサーは日本酒を飲む…普通はほとんど飲まない。
この夜集ったメンバーは、昨日までの出来事やしがらみを離れて、明日を見ていたに違いないと思った。
それこそが、ファンと同じ目線を待っていたジャイアント馬場さんの『全日本プロレス』の再興なのだろう。
ホテルキャッスルにて、約10時間にわたる、缶詰め会議を終えて、山形の夜の町に出る。
秋山社長も、諏訪魔専務も、横綱も、みんな、まずは船を作り上げた達成感のようなものがあり、みんな疲れてはいたが、充実した二次会となった。
二次会はいつもお世話になっているパセオ。
パセオのママさんに、こちらもいつも二次会でお世話になっているフェイスのママさんも来てくれて、揃い踏みしてもらった。
とても意義深い夜であったと思う。
山形南高校の応援団の後輩である高橋英樹は、約30年間のプロレス界での歴史を振り返り、感無量で飲んでいた。
この日山形に集まったメンバーは、きっと、この日が、忘れられない日になると思う。
↧
始まりの夜…みんながひとつに…。
↧