2022年3月11日の金曜日。
東日本大震災から10年が経つ。
遠い昔の記憶のように感じる一方で、つい昨日のことのようにも思える。
心の深いところに受けた衝撃は、きっと時間の経過など関係ないのだろう。
何年経っても消えない悲しみがある。
忘れることなどできるはずもなく、あの時の後悔や恐怖が凍って残っている。
家族や友人、家や街並み、多くを失い、蘇ることはない。
日常の平穏な日々の暮らし、代々繋いできた歴史が、一夜にして消えてしまったのである。
時間の経過は、あの日を忘れさせてくれるどころか、悔恨の気持ちを増大させる。
(あの日の出島、穏やかな湾に津波が押し寄せる)
あの時75歳だった母は、今、86歳である。
失った実家のことは、これまであまり話さなかった。
この10年間、ただただ悲しみを忘れるように、自分が生まれた宮城県女川町出島に、食べ物や洋服などを送り続けていた。
しかし、10年が過ぎた頃から、歳のせいもあるだろうが、自分の子ども時代の実家の様子、両親と家族、当時の食卓の話をするのだ。
思い出の中にしかない自分の生家を、何も無かったように語り続ける。
何とかしてやりたい気持ちが湧き上がるが、何ともできず、自分たちは、ただ話を聞き、寄り添うしかないのである。
今年3月11日、この日、ダイバーシティメディアの震災復興取材班は、福島県浪江町にいた。
浪江町請戸漁港。
海の男たちの町である。
多くの方々が、命を落とした。
残された多くの方々の復興への願い。
悲しみを持ちながらも、前へ進む勇気。
昨年、そんな思いの復興のシンボルとして、浪江町の「道の駅」が、震災から10年目に完成した。
同じ頃、この「道の駅」のすぐ隣に、鈴木酒造の酒蔵が甦る。
ダイバーシティメディアの市民チャンネル(コミュニティーチャンネル)では、この10年間震災復興を追い続けてきた「to Revive」で、鈴木酒造と浪江町の復興の様子をお届けする〜5月放送予定。
是非、ご覧いただきたい。
(ムービーオンの社長室にあったゲド戦記の置物が落下して粉々に!さらにムービーオンのサーバー、ダイバーシティメディアのサーバーが破損)
昨日の3月16日(水)11時36分、また大きな地震が東北を襲う。
ほとんどの人が、東日本大震災の11年前にフラッシュバックしたと思う。
当たり前のことであるが、きっと、これからも地震と共存していかなければならないのだろう。
願わくば、少しでも、被災者の人々の心が、穏やかであってほしいと思わざるを得ない。