1930年代の上海マフィアの台頭の背景には、租界地の存在がある。
1842年に、イギリスと清との間に勃発したアヘン戦争は、イギリス側の勝利で終わる。
戦後両国で締結された南京条約では、租界地と呼ばれる列強による治外法権を伴った外国人居留地が設定される。
上海は、英仏米と日本によって、続々と租界が開かれ、外国資本の参入と開発により、アジア随一の経済発展を遂げる。
そんな中、中国人は安い賃金で雇用され続けたが、次第に外資系と連携する民族企業や一族企業が台頭し、貧富の格差ができ、労働者同士の紛争が耐えなかった。
その解決役、調整役として、上海マフィアが登場してくる。
物語は、日本軍による中国侵攻前夜の1937年の上海から始まる。
日本人の浅野忠信が、中国の名優達の中で、衝撃的な熱演をし、素晴らしい映画に仕上がっている。
上海に入ってくる西洋文化。
租界地では、当時人気だったアール・デコ様式の西洋建築が立ち並ぶ。
ファッションも、中国の伝統的なものと西洋文化が混ざり合った上海モダンブームが巻き起こる。
そんな華やかな上海の裏社会を、より魅力的にしていたのは、選ばれた美しさを持つ女性の存在である。
そして、その華やかな世界の中で繰り広げられる、男達の残酷で無情の行い。
その時代のヒト、モノ、コトが、描き出される。
物語は、多くの時間的な構成が、巧みに表現されている。
全て観終わった時に、全てが繋がり、不思議な満足感が沸き起こる。
是非、映画館で観てほしい一作である。
ムービーオンで、上映中!