誰もが待ち望んだ、池井戸潤作品の初の映画化である。
「半沢直樹」「花咲舞が黙ってない」「陸王」などの傑作小説が、高視聴率ドラマとなったが、映画化は「空飛ぶタイヤ」が初めてである。
累計発行部数180万部を突破した、池井戸潤による大ベストセラー「空飛ぶタイヤ」
ある日、突然起きたトレーラーの脱輪事故。
整備不良を疑われる運送会社社長の赤松徳郎(長瀬智也)は、車両の欠陥に気がつき、製造元の大手企業のホープ自動車に、「リコール隠し」があると、戦いを挑むのだ。
突然、空からタイヤが飛んできて、お母さんは亡くなった。
全てが、長瀬智也が社長を演じる赤松運送会社の整備不良として片付けられ、メディアも警察も運輸局も、財閥系のメーカーも同じ財閥系列のメインバンクまでが、貸し渋り、最後は融資引き上げを迫り、彼らを追い込む。
そして、従業員までも、何人かが離れていく。
サザンオールスターズの書き下ろしの主題歌は、「闘う戦士たちへ愛を込めて」である。
そして、従業員までも、何人かが離れていく。
真実を隠そうとする、巨大な組織。
その関連グループ。
1人の罪のないお母さんの命を奪った原因を、いとも簡単に隠蔽しようとする非人道的な行為の連続が、観ている人の怒りを助長する。
今のご時世というか、社会の風潮を重ね合わせた映画であり、保身の為に真実を隠す人間の愚かさと浅ましさに、立ち向かう男たちの正義感が救いである。
長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生、ムロツヨシの、この現状をなんとかしたいという情熱、さらには、悪を許さない社会人としての責任、そして深田恭子の妻としての支えなど、多くの思いや願いが繋がり奇跡を呼び、巨悪を倒すのである。
1人では立ち向かえなくとも、誠意がある人間が繋がれば、きっと私欲と保身がはびこっている今の世相に、風穴を開けることができるかもしれない。
強いものに巻かれるのではなく、「正義を貫く勇気や、義を見てせざるは勇無きなり」の、日本人の潔さの文化を、いま一度醸成したいものである。
是非、この話題作を、観て欲しい。